top of page
検索
  • 3月14日
  • 読了時間: 1分

随分と久しぶりになってしまった。


チューリップ写真家と自称しながらも、この絶好のシーズンに全然撮っていない。


年明けから水耕栽培をしていた黄色いチューリップは、あっという間に成長した。


部屋の温度管理が難しいため涼しい場所に置いていたけれど、そうすると近くに置いておけないので具に観察できなくなる。


そうしてタイミングを逸したまま、すっかり枯れてしまった花たち。


重い腰を上げてようやくセッティングをして撮影した。


どう撮るか考え、試行錯誤して一つの答えにたどり着いた。


自由にやりゃあいいか。


お前の思う様に撮ればいいよ、という声がどこかから聞こえて楽になった。


曖昧でいい。


よく見ようとしない。


記録にしない。


後のことなんて考えない。


そう思ったら見えたような気がした。


それでもやっぱり終わってみて分かるのは、構図が下手くそということ。


よく分かんないな。


そう思えるから写真を続けられているのかもしれない。



  • 2月24日
  • 読了時間: 2分

更新日:3月14日

北陸の冬が来た。


正確には、もうずっと来ているから「来た」だとちょっと遅い感じがする。

日本語って難しい。


「来た」は過去形でもあり、かぎりなく現在形に近い感じ。


今来たところみたいな。


そんなことはどうだっていい。


わたしの母は新潟県出身で、母が生まれた家には祖父母を尋ねて幼い頃によく遊びに行っていた。


それはもう雪深い地域なので、うっかりすると家ごと雪に埋まってしまうような場所だった。


母はよく、田舎も雪もうんざりだと話していた。


だから大人になって、まさか娘の私が雪国に住むことになるだなんて。一番驚いているのは母だと思う。


雪とは縁遠い街で育った私には、山や田んぼや広い空はなかなか見られない貴重な景色で、東京よりもずっと好きだ。それはきっと祖父母の家が好きだったせいだろう。


雪国の冬は静かでいい。


東京は色々な音がしていて、ずっと明るくて、どこにだって人がいる。


それは安心な部分もあるけれど、やっぱりどこか消耗するかんじがする。


すっかり日が暮れた頃に古城公園へ。


射水神社を参拝して、公園内を歩いてみる。気がつくと雪がかなり降っていた。


降りしきる雪の中、カメラもわたしも全部濡れながら写真や動画を撮る。


バサっと雪が落ちる音がする。


ぎゃー!と鳥が鳴く声がする。


わたしだけが、ちょっと「ビクッ」とする。


誰もいない音がする。



雪は「しんしん」と降ると言うけれど、このオノマトペを考えた人は誰なのだろう?


古城公園にて
古城公園にて

凍える指でカメラのレンズを動かしながら、本当に雪はしんしんと降っているのだと知る。


冬はしずかな音がする。


  • 2024年10月6日
  • 読了時間: 3分

富山県高岡市といえば!万葉集ゆかりの地。


10月4日から6日まで、高岡は古城公園で「高岡万葉まつり」が行われました。


三昼夜かけて2000人以上もの人々が万葉集の全4,516首を歌い継ぐという狂気に満ちたイベント。だったようですが、コロナなどの影響もあって、ここ数年は録画を流すなど一部形式を変更して開催されているようです。


初日に少し撮影などして、最終日の今日は私も朗唱で参加させていただきました。

この日の古城公園は天気が良くて清々しい気分でした。



広い池の真ん中に作られたステージで万葉歌を詠むなんて、なかなかできない経験ですもの。衣装も着付けていただいて、なんだか不思議な気分でした。


節をつけて詠む方々が多くて、それはカッコいいけど恥ずかしい……。詠むだけでも結構難しいので、まず無難に、しかし丁寧に言葉を発することを心がけました。


国語の教科書を音読するのが好きだったのですが、見られていると思うと緊張しますね。


 

「いま泣いたカラスがもう笑った」


無事に終わって今度はイベントの撮影に繰り出しました。


車から機材を取って会場へ向かっている道すがら、お世話になっているお仕事先の方とそのご家族に遭遇。


ご挨拶して別れたその刹那。ふと思い立ち、「あのー、良かったら家族写真、撮りませんか?」なんて口走っていました。


余談ですが、家族写真って、自分ではほとんど撮影された経験がありません。


それに、一身上の理由により仕事でもほぼ撮りません。ウェディングも。


だけど、たまに撮りたくなる時があるんですよね。家族でいる瞬間に遭遇するってなかなかないですし、わざわざ他人に撮られる機会もないでしょうし。


たまたまこちらは写真を撮るのにちょっと慣れていて、たまたまカメラを持っていて操作できるから、そういうタイミングだったんだなと。


でも人によっては撮影されるのにふさわしい化粧や服装をしていなからと、躊躇われるんですよね。なので、あまり急にそういうことは言わないようにもしています。自分だったらやっぱり嫌だし。


でもね、なんか思いついてしまったんです。


そうしたら、思ったよりも喜んでいただけたのでホッとしました。


お父さんと、お母さんと、小学校に上がる前の可愛い2人の兄弟。

あまり人見知りもせず、素敵な笑顔を向けてくれました。


なんだかもっと色々撮りたくて、かけっこをさせたら弟が転んで、お兄ちゃんは構わず走り回っていて、それがとてもよかったです。


泣いちゃった弟くんをみんなでギュッてして!と言うと、みんながギューっと集まって、弟くんもお兄ちゃんも、お父さんもお母さんもみんなが笑って、とんでもなくよかったです。


ああ、幸せに形があるなら、きっとこういう形をしているのだろうなと思えるくらいに。


こういう瞬間、カメラマンでよかったなと心底思います。


目に見えるものばかり撮っている私が、目に見えない何かに心を動かされ、それがカメラという物質を通して目の前に写し出してくれているような気がします。


写真がちょっと上手くてよかったなあ。


人に喜んでもらえることができるなんて、本当に有り難いことです。

bottom of page